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皆様いかがお過ごしでしょう。
飯田ヒロキと申します。
不定期連載の形を取っております『腐の骨頂』2回目となります。
前回はマッチングアプリの話をしたかと思うんですが、今日はそこであったある出来事のお話。
突然ですがみなさん理想のタイプの特徴一つあげて頂けますか?
私はとにかく『男らしい外見』がまず最初にきます。
たくましい筋肉や仕草、顔立ちなど「雄」として優れた男が好きなんです。
そうした要素を追いかけていくうちにどんどん白人・黒人男性への憧れが強くなりました。
骨格の作りから違う外国の男性は私にとってとても魅力的で…
と、長々正当化するように書きましたが飯田ヒロキ、若干、外専ゲイのきらいがあります。
外専とは読んで字のごとく外国人男性を専ら好むゲイのこと。
コミックエッセイ『ぼくのはじめてゲイ婚活』でもアメリカ人男性との出会いに相当ワクワクした描写がありましたが、アプリでもその傾向は基本的に変わっていません。基本的にアプリには検索機能がついており、外国人で絞ることができます。
見た目も見た目なのでそもそも日本人ですらメッセージに至るまで行きませんが、根気強く憧れの男性を探していたところ、ある日一件のメッセージが。
英語キター! 返事もせずにまずはすかさずアイコンをタップ、ホーム画面でお顔を拝見…するとミリタリーな迷彩服を身にまとっためっちゃくちゃかっこいい絶世の美軍人!!(絶世の美軍人とは)ここまで確認したら速攻で返信。なんとやりとりをしてくれそうな雰囲気。
ガッつかず、決して焦らずエロ写メをねだらず(いきなり送られてくるのは普通に引いてしまうが結局エロい写真は見たい浅はかな男心)自己紹介から会話を膨らます飯田。
もちろん英語なんかは喋れないのでエキサイト翻訳(喋れないくせに外人の尻を追いかけるところが本当に失礼だし浅はか)で進める。
わかったことは彼の名前はハロルド。軍人でいろいろな内戦地帯を渡り歩いている。出身はアメリカ、今はアフガニスタンにいる。ということ。
あまりにも乙女ゲーかというくらいのスペックだったのでほんとに軍人かどうか聞いたところ、迷彩服で銃を持ちジープに乗る画像が送られてくる。信じる。飯田ヒロキ、チョロすぎる。
そうするとメッセージアプを交換しない? と願ってもないシチュエーションに。
会話はマッチングアプリからアプリへと移動。やってることは一緒なのになんだか二人だけのプライベートになったような気持ちに。この辺からだいぶ会話も盛り上がり、相手は私のことを相当気に入っている様子。babyを連発し、可愛いとか大好きだとか練乳と蜂蜜と砂糖とあんこをいっぺんに口に入れられたような甘ったるい愛の言葉が投げかけられ、飯田一片の疑いもなくそれを享受。
仲良くなったのをいいことに下半身にはどうしても勝てずエロい話に持って行ってしまう飯田ヒロキ。あーごめんなさいごめんなさい石を投げないで石を!
そしてその下心丸出しのラインにも嫌な顔せず、むしろカモン! というような感じでフランクな回答が返ってきます。フランクっていうのはフランクフルト的なそういう局部の暗喩ではなく気安くという意味なんですが、これが欲しい? 的な感じで送られてくる画像とそれを着信から0.2秒で開く飯田ヒロキ。そしてその眼前に広がるは去年から収穫し忘れたんですか? と言いたくなるような大きな大根!
なんだかんだ中身が大事と思いつつも性欲に引っ張られがちなのは普通に男としての欠点ですね。反省したいんですけどこればかりはなんともならない部分があり、これはまた別の機会にお話ししましょう。
この頃になると私の頭と心はトロットロに絆され溶けてしまい、妄想相手がハロルド一色の生活になっていきます。行き過ぎた妄想は二人が付き合った先の未来を想像するというドリカムもびっくりな未来予想図Ⅹ(テン)くらいの取らぬ狸の皮算用っぷりでした。
ちなみにこのころの私の想像する最高のカップルシチュエーションはジャワカレーのCMみたいな生活で、海の見えるテラスにパラソルを立てて二人で白い服着てジャワカレー食べるっつーあれなんですけど、今の子はあれ通じるんでしょうかイメージ間違ってないか今とっさに飯田が良く見てた時代のCMを検索してみたら江口洋介・森高千里がやってました。ハロルドが江口で飯田が森高です。もうオムレツも作っちゃおうかな!てへ!
しかしここまでちょろっちょろの飯田でしたが、一つ不思議なことが。
送られてくる写真の画質がいやに悪い。マッチングアプリを使ってるからにはスマホだろうし、古い機種にしたって画質が悪すぎる。あと、自撮りではなくやたら誰かから撮られたショットが多い。
ハロルドを疑うなんてことはしたくない、でも私やっぱり気になっちゃう!という気持ちが出てしまい聞いてみることに。
「同僚に撮ってもらってるんだ」
「機密情報を扱ってるから軍からスペックを落としたものを支給されてるんだ」
う、う〜〜〜ん。そうなのか…?ていうかちんちんあらわにした写真同僚に撮らせるか?
重要機密ったってスペック落とす必要ってあるか…? ちゃんと然るべきに然るべき対応が取れるハイスペックマシンを配るべきだと思うんだが…ていうかその軍事用の通信機器でエロ写メ送るのはどうなの?
と、さすがの飯田ヒロキの脳内でも審議開廷。被告側のよくわからない弁解を受け飯田裁判所はこれを否決できるのかどうかが争点になってまいります。
しかしここから被告側ハロルドから
「これから仕事に行く、愛しているよ、また生きてあなたと喋りたい」と愛の異議が巻き起こりました。それを受け原告飯田ヒロキは
………「僕もだよ♥」
ちょ、チョローーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!
チョロすぎてチョロQになったわ!ちょっと後ろに引かれたら全速力で走る4DWとは飯田のことだよ! バカ! おバカさん!
それからも毎朝起きたらメッセージをくれ、寝る前はお休みbabyと甘い言葉…あの壮絶な脳内裁判があったにもかかわらずそのまま逃げ切るように絆され本気になってしまった飯田は日本に来る予定はあるかと尋ねてみました。
するとハロルドから1ヶ月後に日本に行くとの報告が。なんとも都合の良い話ではありますが信じる。飯田ヒロキ改め爆走妄想チョロQ。
ウッキウキで生活していく中ハロルドからなんだか深刻そうな相談
以下ノーカットでハロルドのチャットをお送りします。
「ベイビー、信じて、信頼してるよ。あなたが僕から何か大切なものをもらうって知ってるし僕をがっかりさせないことも知ってる」
「君に金を預けておきたい荷物取引会社を通じて送金しますのでそちらの住所にお届けします」
「この金は私が持つには安全では無いんだベイビー」
「これをやってほしい」
「私があなたに会うまであなたがそれを受け取り、安全に保管できるように私はお金を送ります」
~~脳内裁判~~
(なんか詐欺っぽい)
(何どういうこと? お金預けるってどういうこと?)
(愛とかそういうのどこ行ったのいきなりお金の話出てきたけど)
(ていうかこれ俺の住所とか電話番号とか聞かれてる?)
裁判長「ハロルド!!! 有罪!!!! 死刑!!!!!」
あーーーーーーーーーーおわったーーーーーーーこれで何したいんだかはさっぱりわからんけどこれ完全に詐欺的なやつだ~〜〜〜。四六時中ハロルドのこと考えてマジで英会話教室調べ始めてたのにお前マジかふざけんなよおい〜〜〜〜〜〜。
大体お前は何を送ってくるつもりなんだよ…薬物でも送ってくんのか…?ていうか詐欺師なんて裏で繋がってんだろうし住所なんか送った日にはもう終了だろうが! ふざけんな!ジャワカレーのひと時を返せ!森高千里になりきったこの浅ましいゲイの心はどこに寄せればいいわけ?
しかしまだ確定したわけでは無いので一応裏をとろうと一連の流れを検索。そしたら出てきた言葉が
「国際ロマンス詐欺」
もうすでに古典的な詐欺らしんだけど、ゲイのコミュニティにまで浸透しているとは思わずホイホイ引っかかってしまいました。典型例を見てみると、8割以上が軍人を装いその写真のほとんどがニュースサイトやその他SNSからの転載とのこと。そうだよなー今思えばプロフィールには何にも書いてなかったし、こんな男に困らなそうなイケメンがこんな平たい顔のクソ雑魚アジア人を相手にするわけ無いんですよ。無いんだけどそこのロマンスをついてくる。
卑劣だ卑劣すぎる!!!!弄ぶな!!!!純情を!!!!
オレオレ詐欺やデート商法などテレビで被害の番組を見て「世の中こんなもんに引っかかるバカがいるんだなあ」と呟いていた私でございますがこの日を境にその節穴すぎる目を反省し、以降こういった詐欺を花で笑うような真似は断じてしないと誓いました。
ゲイのお仲間にも被害者がいないかSNSで調べてみると結構出てきました。
そのほとんどがジャワカレー妄想をしているくらいの時期の飯田をそのまま反映したような書き込みでもうなんというかホントに死にたくなりました。お前にそんなイケメンガチムチ軍人が振り向くかいよってつぶやきたくて仕方なくなりましたがそれは放った瞬間全て自分を貫く弾丸となりました。アーメン。
イラスト:おとと
今日のまとめ!!!
・めちゃくちゃかっこいい外人からのアプローチは十分注意!
・プロフィールに自己紹介を書いていないことが殆ど!
・定型文っぽい英語には気をつける!
・すぐにLINEに連れ込もうとするやつはアウト!断ってもしつこく誘ってくる。
(引き下がりすぎて挙句の果てにカカオトークやwechatなどのアカウントを訪ねてくる)
・軍人はほぼアウト。軍人で国作る気か? ってくらい軍人を名乗る輩多い。
・アフガニスタン駐在は100%アウト。お前らいっつもアフガニスタンいるな。
・ちんぽ勃っても蓋取るな!!!
まあでもリアルときメモと思えば楽しかったよ。サンキュー、ハロルド。
以上、連載二回目でした。
飯田ヒロキ