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渋谷真子×季田ビスコ スペシャル対談

 

 

「星空を見つめたそのあとで」のコミックス発売を記念して、車いすで生活されるYouTuberの渋谷真子さんと、著者の季田ビスコ先生の対談が実現しました!車いすのデザインや、恋愛について語っていただきました。記事の最後には、記念の描きおろしイラストも!

 

 

――自己紹介をお願いします。

 

渋谷:渋谷真子と申しまして、今から約4年前に転落事故で脊髄損傷となり、下半身麻痺で車いす生活をしています。事故から1年後にYouTubeを開設して、今はYouTuberメインで仕事をさせていただいています。

 

季田:『星空を見つめたそのあとで』作者の季田ビスコです。フルールさんで仕事してから3年になります。

 

 

――『星空を見つめたそのあとで』制作にあたり、渋谷さんの刊行された本『普通で最高でハッピーなわたし ~特別でもなんでもない二度目の人生~(扶桑社)』や、YouTubeの動画など多く参考にさせていただきましたね。

 


季田:車いすの方について調べるためにエッセイを探すなかで、渋谷さんのぱあっとした笑顔と本のタイトルがすごく印象が残って、真っ先に渋谷さんの本を買いました! かなり色々衝撃的で…、ご実家のこととか、ギャルらしさと仕事ぶりのギャップも印象的で。車いすだけじゃなくて、渋谷さんのパワフルなマインドにも影響されました。


好きなファッションを着てもいい、というのもすごく参考になりました。キャラクター(宮沢すばる)には、ラフな服を着せたほうがいいかなと思っていたのですが、「そんなことないんだな」「好きな服着せていいんだな」と思って。スキニーのパンツや、紐のあるスニーカーを履かせたりできたのは、渋谷さんのお陰ですね。

 

 

――渋谷さんの「マインド」はすごく参考にさせていただきましたね。もっと明るいお話でいいんじゃないか、など相談しました。

 

季田:真子さんもエッセイで描かれていましたが、日本人の考える車いすがテーマのお話は、「いったん悲しいほうにもっていく」「感動ものにもっていく」というのがなんとなくスタンダードになっているというのがあって。連載開始前に、担当さんとそういう描き方はしないで、車いすを特別視するのではなく、「二人の恋愛を描こう」という形になりました。渋谷さんのエッセイはど真ん中でしたね。


「車いすに乗っていないときどうするのか?」というのもYouTubeの動画でかなり参考にさせていただきました。第4話で車いすなしですばるが過ごすシーンは、真子さんの動画をずっと流しながら作画していました。

 

 

――渋谷さんには「星空を見つめたそのあとで」を読んでいただきましたが、ご感想をいただいてもよろしいでしょうか?

 

渋谷:物語のなかで、「なんで車いすなのか?」「なんで障がいを持っているのか?」を追及することがなく、ただふたりの恋愛のことがかいてあるのは、逆に新鮮でした。そこに触れていないのは「普通」でよかったなあ、と思いました。


ただ………車いす側からすると、あの車いすの形が………、ありえない(笑)

 

季田:ああっ……!(ギクリ) 

 

渋谷:「介護用」っぽい車いすだと一人で行動しにくいので、あの形だとちょっとリアルではないんですよね(笑)。もっと行動しやすい車いすであれば、リアルかなあ~っとは思いました。

 

季田:うう…! エッセイのなかで「車いすにもデザインがある」というのをみてすごく憧れたのですが、参考画像を探すのがなかなか難しくて、作画の面で再現するのが難しかったのです…。

 

 

――色々相談してあの形に落ち着いたのですよね。ということで…実際の渋谷さんが乗られているリアルな車いすの画像を見てみましょう!



 

 

――車いすのポイント、こだわりを教えていただけますか?


渋谷:座る部分の幅が狭く、体にフィットした感じになっています。私のように、自分で漕いで生活するタイプの人が使っている車いすになりますね。

 

 

――車輪の部分が金色でかっこいいですね!

 

渋谷:そこの形や色はメーカーや使う人によって違いますね。介護用のように丸の方も多いですが、私のは楕円で太めで、漕ぐにはいいです。色については、ピンクや黄色や赤など選ばれる方もいますが、私はシンプルに黒がよくて、全体的に黒でまとめています。

 

季田:かっこいいですね! クッションが分厚いですが、最初からついているわけではなく渋谷さんが選んでるんですか?

 

渋谷:そうなんです。クッションも別で買わなきゃいけないのですが、種類は様々あるので、その人にあわせたクッションを買います。私みたいな状態だと、最低5万円くらいのクッションからはじめて…私が今使っているのは10万円くらいですね。

 

季田:クッションやバッグは、車いすとは違うメーカーさんがだしているんですか?

 

渋谷:そうですね。写真は海外メーカーのバッグなんですけど、輸入している会社さんがあるので、それを使っています。車いすを漕いでいると手がふさがっちゃうので、荷物がもてないんですよね。私はバッグですが、ベビーカーのように下にネットをつけて、ものをいれているひとも多いです。私は中身が丸見えになっちゃうのが嫌なので、バッグを使っています。

 

 

――では、ここで恋愛トークにさせていただきます。作中では、お姫様抱っこなどのシーンがありましたが、渋谷さんの思う、胸キュン動作はどういうものでしょう?

 

渋谷:物語のなかでも、冬吾が「後ろから見ると顔が見えない」と思っている場面がありましたが、車いす側からみても、後ろからだと顔が見えないんですね。誰と喋っているかわからない状態になるので、横にいてほしいんですよ。だから、食事のときには向かい合わせより、隣り合ってくれるほうが嬉しいです! 傍にいたいんですね。

 

季田:なるほど…!

 

渋谷:デートは手を繋いでもらえると、意外と一緒に歩くことができるので、いいですね。 あと、あざといやり方ですが…合コンの帰り道に坂道があったので、押してもらうんじゃなくて「ちょっと引っ張ってもらえますか?」といって自然に手をつなぐというやり方も…(笑)

 

季田・担当:なるほど~!(笑)

 

季田:手を繋ぐって発想はなかったです。片方に引っ張られるとカーブしちゃうのかなって。

 

渋谷:それは車いす側でも漕いで、調整しながらですね!手が引っ張られてるっていう見た目にはならないです。 あと、ハグをするのも車いすが邪魔をして相手と近づきにくいので、膝の上にまたがってもらうのもいいですね。
男性が車いすで女性が健常者の場合は椅子の上にお姫様座りしたりとか…海外の人だと多いです。


車いすを題材にした映画『世界一キライなあなたに』の場合は、男性が電動車いすに乗っているので、自分でレバーを倒すと車いすが勝手にぐるぐる回るんです。その膝の上に女性が乗ってダンスを踊るというのがあり、素敵な絵だなと思いました。

 

 

――季田さんもご覧になってましたよね。

 

季田:はい。『世界一キライなあなたに』はかなりきゅんでしたね! あと、真子さんが本のなかでお話されていた、『最強のふたり』も見ました。どちらも車いすの方の意志を尊重している物語なんですけど、描き方でこんなに違いがあるんだなあと思いましたね…。

 

 

――1話目の「お姫様抱っこ」のシーンは、きゅんとしたという感想がたくさんきましたね。

 

渋谷:お姫様抱っこって、私たちの普段の生活でも大切なんですよね。胸キュン的にも大切ですが、男性のタイプはなんですか?と聞かれると、まずは第一に「お姫様抱っこができる筋力がある人」になっちゃうんですよね(笑)

 

 

――さて、対談も終盤になってきました。ここで季田さんに、今回の対談記念イラスト書いていただきました!初お披露目です。ご覧ください。



 

 

渋谷:わ――! めっちゃいい――!!!! おそろの車いすになってる―――! すごい! めちゃくちゃすごいですね! 感動する…! ありがとうございます…!

 

季田:よかったー!

 

渋谷:この車いすに乗ってたら……最高だったのにー!(笑)

 

季田:またこの作品を書ける機会があったら…車いすの3Dを外注します!

 

渋谷:そうですね!「その後」を書いてください!「車いす変わったんだ」という話から是非!笑

 

 

――すごく渋谷さんに似てますよね!

 

渋谷:可愛くなりすぎなのでは!?(笑)

 

季田:渋谷さんは、こういう笑顔の印象があります!

 

 

――では、最後に…お二人からメッセージをお願いできますか?

 

渋谷:私自身車いすで恋愛に関しては…まだまだ彼氏できてないですが!(笑)やっぱり障がいがあっても、車いすであっても、普通に恋愛したいと思う気持ちはみなさんと一緒なので、そういうことも含めてYouTubeなどをご覧いただいて、身近に感じていただければと思います!

 

季田:車いすの作画が…申し訳ありませんでした!! もし続きを描けるなら、渋谷さんの乗ってるようなかっこいい車いすを描きたいですね…! 渋谷さんとお話ししたり、YouTube見てると、やっぱり車いすの方と私たちは変わらないなと。恋愛をする上で車いすは「最重要ポイントではない」!

 

渋谷:うんうん。

 

季田:やっぱりコミュニケーションだなと思いましたね。

 

 

――お二人ともありがとうございました!



渋谷真子さん

 YouTube/現代のもののけ姫Maco

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 書籍「普通で最高でハッピーなわたし ~特別でもなんでもない二度目の人生~(扶桑社)」

 

 
 


コミックス情報

星空を見つめたそのあとで

星空を見つめたそのあとで

星空専門フォトグラファー×車いすのデザイナーのピュアBL☆
膝下の麻痺により車いすを利用するデザイナー・宮沢すばるは、
憧れのフォトグラファー・天瀬冬吾の関わるプラネタリウムのパンフレットを作成することに。
仕事を無事に終えたすばるがプラネタリウムの試写に訪れると、そこにいたのは冬吾本人だった。
ふたりで見上げる星空に、心臓が高鳴るすばる。
上映が終わったあと、思わずすばるは冬吾を呼び止める。
「また、会えますか――?」
星空専門フォトグラファー×車いすのデザイナーのピュアBL!

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